よくばりトラベルプランズ

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奈良の美と静けさに包まれる|隈研吾建築が光る「紫翠ラグジュアリーコレクションホテル奈良」宿泊記【客室・ラウンジ編】

奈良の地に佇む、上質な隠れ家ホテル

2023年に奈良の穏やかな地に誕生した「紫翠 ラグジュアリーコレクションホテル 奈良」。

世界的建築家・隈研吾さんが手がけた空間は、和の美しさと静けさに満ち、最初の一歩で心がふっとほぐれるような感覚に包まれます。

「奈良でどこに泊まろう?」「紫翠って実際どう?」――そんな方に向けて、客室やラウンジの様子を中心に、宿泊して感じたことを写真とともにご紹介します。

“泊まるため”だけでは惜しい、そんなホテルでした。
奈良のホテル選びの参考になれば嬉しいです。

「ザ・ラグジュアリーコレクション」とは?

「ザ・ラグジュアリーコレクション」は、マリオットグループの中でも特に個性を重視したラグジュアリーブランドです。

日本国内では、以下の5軒のみが展開されています:
・翠嵐 ラグジュアリーコレクションホテル 京都(2015年)
・ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町(2016年)
・イラフ SUI 宮古島(2018年)
・ザ・三井 京都(2020年)
・紫翠 奈良(2023年)

過去に「ザ・三井 京都」に宿泊して感動した記憶があり、今回の奈良滞在にも自然と期待が高まりました。

ホテル&リゾート | Marriott Bonvoyの公式サイト

アクセス:伊丹空港からの行き方

伊丹空港(大阪国際空港)からJR奈良駅へは、リムジンバスで約85分。

乗り換えなしで行けるのは便利ですが、便数は1〜2時間に1本と限られているため、時間帯によってはやや使いにくさを感じるかもしれません。

私は他に用事もあったため、リムジンバスではなくJRを利用して奈良駅まで移動しました。その後、駅からはバスで「県庁東」まで行き、徒歩でホテルへ。バス停からホテルまでは歩いて3分ほどです。

また、夕食を近鉄奈良駅前まで食べに行った際は、ホテルまで徒歩で戻りました。
ホテルは近鉄奈良駅から約750mと近く、荷物が少なければ歩くのもおすすめです。

ホテルは奈良公園の西端、春日大社や興福寺、東大寺といった世界遺産が点在するエリアにひっそりと佇んでいます。

歴史を感じる本館とラウンジ「寧楽」

メイン棟は、大正時代に奈良県知事の公舎として建てられた純和風建築をリノベーションしたもの。

一見するとホテルとは思えない、まるで歴史ある和風邸宅のような佇まい。風格と重厚感のある木造建築に心が惹かれました。

リノベーションを手掛けたのは、新国立競技場でも知られる建築家・隈研吾氏です。


鶴や紅葉、桜が描かれた杉戸絵に加えて、堂々とした立派な盆栽が出迎えてくれ、空間に品格と静けさを添えています。右側にレセプションカウンターがあります。

廊下には「奈良県行事写真帳」が展示され、この建物が辿ってきた歴史の一端を垣間見ることができます。


ラウンジ「寧楽」では、到着後にウェルカムドリンクをいただきながら、ゆったりとチェックイン。

落ち着いた空間で、旅の緊張がふっとほどけていくような心地よさがあります。

床の間に飾られた愛らしい陶器のオブジェや、黄金色に輝く絵画が目を惹き、しばし時間を忘れて見入ってしまいました。


格子天井には小さなランプが優しく灯り、波打つ大正ガラスの窓、黄色のカーテンと淡い紫色のソファが古都奈良のクラシカルな趣を引き立てています。まるで日常を離れた別世界にいるような、静謐で上質な空間です。

16時ごろに到着した際、ラウンジはすでに満席でしたが、中央に配された大きな石のテーブルが各グループを程よく区切っており、開放感を保ちながらも心地よい距離感が感じられる設えでした。天井が高いため圧迫感もなく、ゆったりと過ごすことができます。

クラシカルで優美なインテリアに、よもぎ色の絨毯や窓の外に広がる緑が自然に溶け込み、和と洋が美しく調和した空間に心が癒されました。

歴史的価値のある「御認証の間」

昭和天皇がサンフランシスコ講和条約の批准書に署名されたという、歴史的背景を持つ特別な一室。
円卓や椅子は当時のまま大切に保存されており、質素ながらも品格が漂う空間の中で、静かに歴史の重みを感じることができました。

メインダイニングとその他の施設

メイン棟には、落ち着いた和モダンの雰囲気が美しいメインダイニング「翠葉」があります。

奥には個室も用意されており、本館レストランの個室「紫檀」も見学させていただきました。プライベートルームは、お庭に面した開放感のある空間に、日本家屋ならではのしっとりとした優雅さが調和した、とても心地よいお部屋でした。

メインダイニング「翠葉」

プライベートルーム「紫檀」

さらに、かつての倉庫を改修してつくられた鮨バー「正倉」も併設されており、趣のある特別な空間で寿司を楽しむことができます。
こちらの意匠は、客室の装飾デザインにもインスピレーションを与えたとのことで、特に入り口の角の造りに注目すると、その共通点が垣間見えます。

鮨バー「正倉」

中庭

「御認証の間」の横から外に出ると、中庭へとつながります。


裏庭の入り口もまた、趣向を凝らした佇まいが印象的です。

客室へは、このドアを抜けて一度ホテルの外に出て、公道に面した路地『時の道』を通る造りになっており、ちょっとした驚きと遊び心を感じさせる導線になっています。

客室棟「花鹿」と「鳳凰」へ

ドアを出て右斜め前には、客室棟へと続く門が見えてきます。

その門をくぐると、左手にスパ棟「瑠璃」が現れます。和の要素に加え、どこか洋風の趣も感じられる建物で、こちらもとても魅力的です。

このスパ棟は、かつてこの地にあった昭和期の洋館の意匠を受け継いでおり、敷地内の手水鉢から静かに注がれる水音が、凛とした空気感と穏やかな静けさをさらに引き立てていました。

左右には、それぞれ2階建ての客室棟が1棟ずつ建っており、右側が「鳳凰(ほうおう)」、左側が「花鹿(はなじか)」と名づけられています。

「花鹿」は、奈良時代の正倉院宝物にも見られる想像上の動物で、鹿の角がまるで花のように表現された姿が特徴です。花角の鹿は、幸福や繁栄を象徴する存在とされています。

一方、「鳳凰」は古代中国の伝説に登場する霊鳥で、雄の「鳳」と雌の「凰」が一対となり、理想的な徳と調和を表す瑞鳥として尊ばれてきました。

各棟の入り口にはカードキーをかざすタッチ式のセキュリティが設けられていて、扉は自動で開きます。安心して滞在できるのも嬉しいポイントです。


中に入るとすぐ、2階へと続く階段があります。

二階建ての構造ですが、エレベーターも設置されているので、荷物が多いときでも安心です。フィットネスジムの設備も、こちら「花鹿」棟に用意されており、滞在中のリフレッシュにもぴったりです。

やや音が響きやすいため、足音や声に気を配りながら、静かにお部屋へと向かいます。

廊下にはやわらかなグリーンの絨毯が敷かれ、天井にはぽつぽつと小さな照明が灯されています。
まるで木漏れ日の中を歩いているかのような、やさしく温もりある雰囲気が漂っていました。

客室

新たに建てられたモダンな客室二棟は、全43室です。

  • スタンダードルーム(40~41㎡):広縁付き、自然光がたっぷり

  • スーペリアルーム(43~46㎡):庭と一体になったような設計

  • デラックスルーム:温泉風呂または露天風呂付き、奈良の自然をモチーフにしたインテリア

  • スイートルーム(53~98㎡):広々とした贅沢空間

天然温泉付きの客室も多く、歴史と快適さのバランスが絶妙です。

 

今回は花鹿棟1階のお部屋にアサインされました。

今回宿泊したお部屋は1109です。建物のほぼ中央に位置しています。
ホテルの中では一番リーズナブルなスタンダードルームです。

エントランスには自然木をふんだんに使用しており、全体的にあたたかみのある印象です。

ドアを開けて左側にはクローゼット。扉の取っ手には伝統的な意匠が施されていて、細部にまで美意識が感じられました。

中にはバスローブやスリッパ、洋服ブラシ、靴ベラなどが備えてあります。

もう一つのクローゼットにはセーフティボックスが設置されており、下段の引き出しには羽織とナイトウェアが収められていました。

靴磨きサービス用のシューバッグも用意されていて、気の利いた心配りが感じられます。


 

ウェットエリア

クローゼットの向かいにはウェットエリアが広がっています。洗面台は一面ですが、ゆったりとした設えで使いやすいです。

 

箔一の手鏡が置かれており、今回は使用しませんでしたが、金箔の可愛らしさに思わず見入ってしまいました。

アメニティは「BYREDO」のもの。コットンや綿棒は朱塗りに藤の花、鹿、鳳凰のデザイン柄の飾り箱に収められています。細部にまで和の美が感じられます。

ソープディッシュも朱塗りで日本らしさをここでも感じます。

小さな花瓶には、伝統的な九谷焼の金唐草模様が施され、ネコヤナギのつぼみが可愛らしく飾られていました。

トイレは個室で、広めでゆったりとした空間でした。

バスルームにはレインシャワーと通常のシャワーヘッドが備えられており、床も広めで使いやすいです。温泉付きのお部屋ではなかったものの、十分に温かみとリラックスできる空間でした。

バスアメニティも同じく「BYREDO」のものが用意されています。

ドライヤーはレプロナイザー27Dプラスです。10万円を超える高級ドライヤーを体験できて幸せな気持ちになりました。仕上がりもいつもより美しく感じました。

また、体重計も置かれていました。

バスマットは浴室のドアにかけられていて、他タオルはすべてこちらに揃っていました。多めに準備されていて、二人とも朝晩新しいタオルを使える余裕がうれしいです。バスローブも2つ備えてあります。

お部屋

落ち着いた雰囲気で、窓際とベッドルームの間には特徴的なデザインの枠があり、空間に彩りを加えています。

鮨バー、蔵の入り口にあった意匠を思い出してくださいね。同じデザインがこちらに反映されています。

木製扉でウェットエリアと間仕切りとなっています。
全面の彫りのデザインが施されいて、ライトアップでその彫の美しさが際立ちます。
手彫りのお盆などにみられる「はちのす彫り」を思い起こしました。

扉を開くとウェットエリアが開放的な空間になります。

よもぎ色の絨毯やソファのファブリックは優しい色合いで、全体的に素敵なトーンを演出しています。

ツイル地のソファの質感と、木製のルームキーとのコントラストも美しく、お部屋のテイストにぴったりです。

スリッパはモコモコしていて履き心地抜群です。

お部屋に置かれていた「今、行きたい日本の憧れホテルBEST100」の表紙には、紫翠の写真が使われており、少し誇らしい気持ちにもなりました。

お部屋から見える中庭は、枯山水風の庭に大きな手水鉢の形をした岩が置かれ、その奥に歴史的な建物が見え、古都奈良ならではの景観を楽しむことができました。


この景色はとても美しくて、何度も見入ってしまいました。

また、サイドボードには無料で使用できるタブレットが用意され、サイドボードには冷蔵庫やティーカップ、お菓子なども用意されていました。

美濃焼と思われるのタコ唐草模様のティーカップは、可愛らしく、優しい質感でお部屋の雰囲気にぴったりでした。

こちらに用意されていていた「鈴らむね」、駅前のお土産ショップでも販売されていて、そちらで購入したのですが、優しいお味で普段ラムネを全く食べないのですが、とても美味しく感じました。

タンブラー、グラス、湯呑、ティーカップなど色々と揃っていたので、飲み物によって雰囲気に合わせて選ぶことができてとても便利でした。

奈良らしいティーバッグもあり、大和高原で自然栽培された健一自然農園の十色の大和茶シリーズが提供されており、パッケージも奈良らしいデザインでとても素敵でした。

ミネラルウォーターは、持ち歩きにも便利なサイズの紙パックです。

そしてこのホテルの魅力は、宿泊空間だけにとどまりません。
次は、ホテルの敷地内にある無料アクティビティや、周辺の見どころなど、この土地だからこそ味わえる体験をご紹介していきます。

後編へ続きます